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絵本の学校


おはなし絵本の会 連続講座 絵本の学校
  2001年の募集は締め切りました。
  期間 2002年 4 月~10月(毎月1回 全6回) ※8月は休講
  第1回 2001年4月18日(水) おはなし絵本総論1 終了
  第2回 2001年5月16日(水) おはなし絵本総論2 終了
  第3回 2001年6月20日(水) おはなし絵本事情1 終了
  第4回 2001年9月19日(水) おはなし絵本事情2 終了
  第5回 2001年10月17日(水) おはなし絵本実技1 終了
  第6回 2001年11月21日(水) おはなし絵本実技2 終了

第1回要約
子どもはみんなお話が大好き。大人自身が絵本やお話が大好きで、なんとかしてその面白さをわからせてやろう、自分と同じようにとても愉快な気持ちにしてやろう、嬉しいとき悲しいときにうんと感動できる子どもにしてあげようという思いがあれば、いろいろな話をしてあげると、子どもはみんな喜んでそのお話の世界へ入っていく。 そのためには、子どもの時に持っていた感性を思い出し、もう一度、その感性を磨くことが大事。そういう感性を持つことが、絵本の世界に子どもを導入していく大きな力になる。 絵本は、子ども向けにやさしく書いてあるから程度が低いというものではない。本当にすばらしいお話というのは、大人でも子どもでも、だれにでもわかるようにやさしく書いてあって、子どもが読んでも大人が読んでも感激する。童話は「人間の原点に立つ文学」でなくてはならない。とりわけ、絵本は文章と絵から成っているから、絵がどんなにすばらしくても、肝心の文章が良くなくては面白くない。また、お話がどんなにすばらしくてもイメージを刺激しない絵では想像を膨らませて楽しむことができない。しっかりしたお話で、イメージを刺激するような絵が描かれた絵本を選ぶことが大事。子どもの本は子どもだましであってはならない。

第2回要約
絵本は、幼児が理解できるということが大切な条件ではあるが、その内容に制限はない。 最近の絵本には、老人問題や死の問題まで描かれている作品も決して少なくない。絵本だから楽しくて夢のあるお話というのは大事なことだが、子どもたちもこの社会の一人として生きている限り、現実に老人問題に出会うこともあるし、不幸な出来事の中で生きていかなければならない子どももいる。人間である限り死を避けて通ることもできない。子どもだからといって花園の中だけで生きていくわけにはいかない。 死の世界から最も遠い子どもに死を語ることは、死の意味が充分に理解できないだけに、その不安や悲しみが深まるばかりで、正直言って残酷。だからといって、死の意味をうやむやにするのではなく、死に打ち勝つ勇気と、死は生と同様に尊いものであるということを教えてあげることが非常に大事。生きるとはなにかをしっかりと分からせてあげることで、子どもの心を解放できるのではないだろうか。 子どもたちが死を恐れるのではなくて、死を乗り越えることのできる力について考えなくてはいけない。そのためにも、本当に子どもの気持ちになって、命の重さ、温かさ、そして死の悲しみから克服する心というものをもっともっと手渡してあげてほしい。

第3回要約
民間に伝わっているお話を民間説話(民話)という。民話の中に昔話と伝説がある。伝説は、本当はそうではないのだが、本当にあった話として語り継がれたものであるから、おじぞうさんや石のようにちゃんと証拠の品がある。「むかしむかし、あるところに…」ではなく、いつごろ、だれが、なにをしたかというのを具体的に話すのが伝説の特徴である。だから、伝説はある特定の場所に伝わっているお話である。 それに対して、昔話は、創作したお話としてみんなで楽しんできた架空の話である。場所も人も特定されていない。だから「むかしむかし、あるところに…」で始まり、終わりは必ず「これでおしまい」という言葉がつく。心理描写も自然描写もなくて、ほとんど会話で繋がっていて、そして最後にこれでおしまいという形になるのが昔話の特徴である。こういうパターン化された形式、つまり、話が単純で構成がしっかりとしていて描写のない会話形式、これが聞き手に一番わかりやすい素朴な語りのスタイルである。そして、実際に語りを話す人と聞く人が心を一つに重ね合わせるところに昔話の魅力がある。そこに、絵本というものがあればさらにイメージがわかりやすいので、昔話絵本は子どもたちが大好きなお話の一つになっている。昔話を読むということは、ただ単に昔の話を集めて読み聞かせるのではなく、庶民の気持ちをいっぱい詰めながら、それをどうやって子どもたちにわかりやすく温かく伝えてあげるかということがとても重要である。

第4回要約
絵本は、大長編にも匹敵するくらいの内容を小さい子どもにもわかるように書かれた優れた文学である。子どもたちへの読み聞かせは、単なる娯楽ではない。 たとえば、新美南吉の『でんでんむしのかなしみ』は、生きることのつらさとそれを乗り越えていこうとするひたむきさが伝わってくる。みんなが抱えている悲しみ、その悲しみを克服してこそ、新しい勇気がわいてくる。そして人の悲しみや喜びを自分のものとして感じられる心、これが本当の思いやりであり、この作品は読む人を心から励ましてくれる。こういったことは、小さい子どもだって、ちゃんと話してあげればわかる。 悲しみの本質を知ることは、喜びの大きさを知ることにもなるし、感情の起伏がないと、なぜ悲しいのか、なぜ嬉しいのかわからなくなってしまう。読み手が作者のメッセージをくみとって、子どもたちに話してあげることがたいせつである。 絵本では、「死」ということですら、単純なことばで、子どもにもわかるように、描くことができる。どんな哲学でも、どんな難しいことでも、誰にでもわかるように描かれているのが絵本なのである。「死」ということも、綺麗に描ける。地獄というものをユーモラスかつきちんと子どもたちに伝えることだってできる。絵本をどんなふうに与えたらいいのか、作者が作品にこめたメッセージとは何か、ということをしっかりと考えたうえで、子どもたちにお話を読んであげてほしい。そうすれば、絵本が持つ魅力、絵本の力を実感してもらえるはずである。

第5回要約
子どもの心をとらえる絵本とは、たとえ架空の人物や出来事であったとしても、それがくっきりとイメージされて自分もそこに参加しているという気持ちを持てることが大事。出てくる材料が子どもに親しいものであることが大切である。たとえば、エルサ・ベスコフの『ちいさなちいさなおばあちゃん』という絵本があるが、幼児には「ちいさなちいさな」というのが魅力であり、共感できる部分である。ロシア民話の『三びきのくま』にしても、子どもたちは大きいくまや中くらいのくまよりも、小さいくまに興味を持つ。また、どういう話であってもスリリングで興味がわく書き方になっていないと面白くない。スリリングというのは、次への展開を期待させる要素であり、空想の世界がどんどん広がっていく楽しさがある。ファンタジーにおける不思議な体験というのは何度もできることがたいせつ。行って帰って、また行きたくなるのが、空想の面白さのひとつであり、そんなお話が子どもたちの心をとらえる。 さらに大事なことは、子どもがお話の主人公と同化できることである。妹や弟ができた子、昼寝が嫌いな子、乗り物が好きな子、いろいろな子に合わせた絵本を読んだあげることが大事。子どもはみんな自分というものと重ね合わせて、おはなしの主人公と一体化しておはなしを聞いているだから、子どもの成長に合わせ、その子の環境にあった絵本を読んであげるのと、ただ読み聞かせするのとは大違いである。それぞれの子どもの現実の中で、子どもが納得のできるおはなしをどんどん与えてやっているうちに、子どもはおはなしが大好きになり、今度はまったく現実と違うファンタジックなおはなしでも納得できるようになる。

第6回要約
『人生に必要な知識はすべて幼稚園の砂場で学んだ』(ロバート・フルガム/著)は10年ほど前にアメリカでベストセラーとなった本である。タイトル通り、生きていくうえで本当に知っていなくてはならないことはすべて幼稚園で教わったということが強調されている。この本を読めばすぐに納得がいくが、幼稚園・保育園という場所および保育という仕事は、子どもが社会と関わっていく力を育てるうえで、もっともたいせつな役割を担っているのだ。今、子どもたちが感動する心、優しい心を失っているとよく言われているが、そこで求められるのが、幼稚園・保育園の先生方の力ではないだろうか。 絵本の読みきかせということに立ち戻ると、幼稚園・保育園は、お母さんの膝の上で絵本を読んでもらっていた子どもたちが初めて、大勢の仲間と共有の場所で、一緒にお話を聞くことになる場所である。そのとき、子どもたちをお話好きにするためには、お母さんの膝の上でお話を聞いた幸せな時間を子どもたちに思い出させてあげる配慮が、保育者の側に求められるだろう。 全6回の講義を通して、さまざまな絵本を紹介してきた。これからもどんどん新作が誕生していく。しかし、名作の力を改めて認識していただきたい。『赤毛のアン』にしても『アルプスの少女ハイジ』にしても、大変な境遇にある主人公が明るく、けなげに生き、周りの人にもいい影響を与えているという共通点がある。人の心をとらえる要素を持っている作品だけが名作と呼ばれる。ぜひ子どもたちに紹介しつづけていってほしい。日本の作品『泣いた赤鬼』(浜田廣介/作)も、読む人に、本当の優しさにはすさまじいエネルギーが必要なのだということを感じさせる作品だ。 子どもたちには、さまざまな絵本を見せてあげてほしい。そうすれば、絵本の持つ力というものに、自然と気がついてもらえるだろう。

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