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絵本の学校


おはなし絵本の会 連続講座 絵本の学校
  おはなし絵本の会 第12期生募集!!
第1回要約 講師:野村たかあき先生
講師:野村たかあき先生
私は昭和二十四年の十一月十九日生まれですから、六十二歳です。団塊のごちゃごちゃ人間がいた世代で、中学高校に一学年十一組くらいあったような世代です。群馬県の前橋で、農家の長男として生まれました。そんなに優秀な農家じゃなかったものですから、農閑期はお父さんがとび職をしていたり、群馬県は養蚕が盛んなものですから、おかいこも飼っていました。おかいこが桑を食む音っていうのは、雨が降るようなざわざわざわざわした音です。生活のためにおかいこを飼っているので、普段それはもうよしとするんですが、子どものころ、風邪なんかでちょっと熱でも出したりすると、それがもう怪獣のざわめきのような音に変身して、怖いという思いがしておりました。
私が小学生だったころ、昭和三十年代の遊びといえば、男の子はメンコやベーゴマ、ビー玉、女の子はおはじき、まりつき、お手玉っていう時代だったものですから、それらは全部やりました。街頭紙芝居を見たり、祭りがあるとそこで遊びほうけておりました。でも、メンコが強かったり、ビー玉の技がよかったり、こまを回すのがうまいっていう種類の器用じゃなかったんです。例えばメンコには、親めんというメンコがありまして、それを糸で縫ったり、糊ではりつけたり、そういう細工が上手という種類の器用だったんですね。だから、めんこの勝負では負けても、親めんをうまく作ることができるので、その親めんと普通のメンコ二十枚とを換えてくれということになるんですね。ベーゴマは、針のようにベーゴマの芯をとがらすことが必要で、父親の持っているやすりを利用して削るんですが、それがまたうまかったんですね。そうすると、「これはいい、針のような芯を持っててすごい」ってことで、私が細工したベーゴマ一個につき、五個くらいととりかえてもらえるってことはありました。勝負では勝たないけ、その細工をする技術によって、メンコもみかん箱にいっぱいあったり、お茶の缶いっぱいにベーゴマもありました。ビー玉に関しては、細工するところがないもんですから、ビーだまの数は少なかったです(笑)。


第2回要約 講師:井上洋介先生
講師:井上洋介先生
子供が塗り絵をして夢中で遊んでいるところを、じーっと見ていた日雇い労働のおばさんがいたんです。そのおばさんが、自分も鉛筆と紙を持って描き始めたの。それがね、なんだかよくわかんない絵を描いてる。ただ五センチほどの線をひっぱるのにすごい時間がかかってるの。ただごとじゃない線の引っ張り方で描いてる。見とれてたんですよ。「なんていい描き方してるんだろう。こんな線の引っ張り方してんの初めて見た」と思って。おそらくそのおばさんはね、鉛筆なんか、子供のころ以来、持ったことない感じなんですね。その人がね、描いてるんです。それが、見てると何を描いているかさっぱりわかんない。五、六本の線ですよ。絵ともいえない感じです。その線のひっぱり方に時間をかけてね。自分の人生を引きずってるみたいな描き方で。たまらなくなって聞いたの。「おばさん、これ何描いたの?」って。そしたらね、「橋の上から、川に映った月を見ている絵だ」って言うんですよ。その説明聞いて私は仰天したのよ。これ、ただ事じゃない情景じゃないかって。川に映った月を親子で手をつないで見て…なんか、親子心中するんじゃないかっていうような、そんなような感じを受けたんです。この絵が不思議で不思議でね。さきほど言ったように、子どものころから絵を毎日毎日見続けてきてます。ふとね、いろんな絵描きが頭に出てきますよ。ピカソのゲルニカの一場面であるとか、泣く女だとかね。ドイツの中世の素朴なへたくそなやつとか、スーチンとかね。狂ってるような絵描きが好きなもんですから、そういうようなものが頭をよぎってきますけどね、時々、この絵があたまをふわりと浮くんですよ。私の好きな絵描きの隙間から浮いてくるの。この絵が。このおばさんの絵を見たのは戦争終わってすぐくらいですかね。そのときの記憶の絵がね、ふわっと浮いてきて。絵画ってね、これじゃないかと思ったの。今まで私もいっぱいいろんな種類の絵を描いてきてます。でも、いろんなふうに考えながらつきつめてくるとね、自分にとって絵画っていうのは、自分にとってのいろんな想いを絵の中に沈めていくっていうか、そういうもんじゃないかっていう気がしてるんです。沈み方が大切なわけよ。やっぱり沈めることよね。それがどっかのときに浮いてくる。想像力のばねになるって言うかね。表現のばねになる。あのおばさんは、人生をひきずるように時間をかけた線の引っ張り方の中にね、いろんな想いが、その線の中に沈んでいたと思うんですよ。


第3回要約 講師:木坂 涼先生
講師:木坂涼先生
原文にそんなこと書いてないよって言われちゃうようなアレンジの仕方をすることも、実はあります。とくにそれは詩の絵本。詩情が入っているようなもののときは、よりそうです。そういうときは編集者さんと相談します。私はこういうように考えるので、これは原文にあるけれども、省いてしまってもいいんじゃないか、省いた分は別の楽しさをプラスアルファすることで、一冊がこのくらいに楽しくなるんじゃないかって。そして英語圏では、絵本は詩の兄弟分なので、語尾をそろえる、音をそろえる楽しさで作られていることも多いです。その場合、日本語にしたときにその韻を踏むっていう部分が欠けてしまうわけですね。英語では韻が踏めていても、日本語に訳すと急にぜんぜん語尾が違う単語が入ってきちゃう。そうなると、やっぱり原文にない単語を持ってくることもあります。とくに詩の場合は、より強弱強弱があって、なんとなく揺れ動くような気持ちがするっていうような要素を生かすっていう絵本があるんですね。
それがこの『ねないこせかいチャンピオン』という絵本です。小さい子どもたちは、何度も何度も耳にして絵を見て、おとな以上に絵本の言葉を覚えていきます。だから、いっぱいいろんな要素を入れてしまうよりも、繰り返しの中に変化球を入れることの楽しさで、子どもたちが確実に言葉を自分のものにしていくんじゃないかと思うんです。それは詩の要素なんですね。詩は繰り返しと、体がなんとなくゆらりゆらりしちゃうようなリズムと耳に心地よい響き、それらがすごく詩は大事で、その要素がこの絵本にはところどころに入っているというとても珍しい試みをした絵本だなって思いました。そして、詩がところどころに入ってくるので、私に翻訳のお声がかかったのかなって思ったんですけれども。四十ページ以上あるんですね。でも途中途中にそういう変化球としての詩が入っているので、そんなに長い感じが私はしませんでした。


第4回要約 講師:岡田達信先生
講師:岡田達信先生
まほうつかいのしきたりでは、なぜか飼う猫は黒猫って決まってるんですね。でも、白猫に情がうつっちって、なんとかこれをごまかして連れて行くんですがばれちゃいます。でも「白猫だっていいよ、私の大事な猫だから」って言ったら、案外みんなあっさりと受け入れて、ああ、猫は猫ねってことになるんです。今まで黒猫っていう枠に縛られていたんですけれども、意外とそれは意味のないことだっていうことに、みんなが気がついて枠をはずしてしまいました。それで、最後はすごく世界が広がっていくというお話です。いろんなセーターを着た色とりどりの猫がやってきて、カラフルなお祭りになりました。こんなこともあるのかなって思います。自分で決めてしまっている枠で縛られていることってあるかもしれません。もしかしたら絵本というものの見方もそうなのかなと思います。絵本はこうあるべきとか、こうすべきというふうな固定的な見方をしないで、これからはもっともっといろんなところで使っていけるんじゃないかなって思っています。もちろんそれは絵本本来の使い方ではないので、そういったところから人が入ってきて、大人の人も気軽に絵本を楽しめる世界になるといいなと思います。
今、出版不況とも言われていますけれども、児童書の場合は子どものためって思ってる以上はなかなか市場が広がりませんし、どんどん少子化しています。でも、こうやってこれだけ大人の皆さんが絵本を楽しめるということは、大人にとっても絵本はとっても素敵な読み物だと思うんですね。それをまだまだ大人たちは知らないので、もったいないなあと思います。だから、それをどんどん広めていくのが、私のひとつの役割かなと思います。ぜんぜん絵本なんか興味ないような経営者のおじさんたちの集まりのところに切り込んで行ってるのが私の役割ですので、ぜひみなさん援護射撃していただけるとうれしいなと思います。


第5回要約 講師:ひろかわ さえこ先生
講師:ひろかわさえこ先生
仲間っては素敵だなっていうふうに思わせてくれたのは、『おやゆびさん』という絵本です。編集の方と作者の風木さんが同時に私を指名してくれたそうです。ちょっとうらんだりしましたけど(笑)。最初は「いいですよ」って受けたんですけど、よくよく見たら、もう、手しか出てこない。どうやってこれを飽きさせないページ展開に作ったらいいかっていうのは難しいなあと思ったんですね。手だけだと地味でしょう? それで、この色の丸があるんです。にぎやかにするためだけに入れたわけじゃありません。この色のふくらみとか、丸がばらばらになったり寄ったりする形で、それぞれの指の気持ちを表現できないかなと思って描きました。説明しちゃうとおもしろくもなんともないんですけどね。子どもたちは多分この色を、ぱっと感覚で捉えて感じてくれるんじゃないかなというふうに思うんですね。
だいたいこういうふうに手が出てくると、どれがお父さんでどれがぼくでとかそういう感じの設定をしてしまいがちなんですが、これはそれがないんですね。親指さん、人差し指さんって、みんなが仲間なんですね。どうしてそれがすごくいいなって思ったかっていうと、震災があったところで読み聞かせをしてらした方の言葉からです。被災地には実際に孤児になった子どもとか、片親をなくした子どもとかがとてもたくさんいるので、家族の本を読むのはとても難しいんだけれども、これだと、家族ではなくて全部が仲間だから、そういう意味でこの絵本はいいなっておっしゃったんです。なるほどな~って思いました。
それから、これを読み聞かせをしていると、老若男女の方がみんな手を動かして見てくださるのが、私はとてもおもしろいです。子どもたちはもちろん動かしてくれます。自分で描いているときはこんな大きく描いているのでお相撲さんの手を描いているような気がしたんですけど、実はちょうどそのときうちの姪っ子の子ども三歳で、その子に形を作ってもらって、それをモデルに描かせてもらいました。だから遠くで見ると、子どもの手のバランスになっていると思います。そんなこんなで、普段の絵本作りと違う作り方をしたので、とても私としても思いで深い一冊です。


第6回要約 講師:西本鶏介先生
講師:西本鶏介先生
数年前に出たんですけど、いまや世界的な有名な村上春樹が訳をしているんですよ。サンタを待つ少年のもとに現れた思い出のお話。読んだ方いらっしゃいますか? 映画にもなりました。サンタを待つ少年の前に現れたのが、白い蒸気につつまれた蒸気機関車急行北極号。機関車の行く先は北極点。少年はクリスマスイブの夜にその列車で北極点を旅する。すべてのクリスマスのおもちゃは北極点の町で作られている。少年は幸運にも子どもたちの中から選ばれて、プレゼントの第一号をもらうことになって、それは少年がかねてからほしかった、サンタのそりについていた銀の鈴。それは少年が子どものときほしかった鈴ですね。サンタを信じる子どもたちに聞こえる鈴の音。小さいころにサンタクロースを待ってわくわくして眠った子どもの気持ちをふまえたとてもファンタスティックないい絵本だと思います。ぼくはあんまりクリスマスの絵本はほめないんですけど、この本は心に残る絵本だと思いますね。絵もすてきな絵です。ぼくは何でこれが好きかっていうと、この中にあんまり赤い服着たサンタクロースがちゃらちゃらと出てこないから。みなさんは若いからサンタクロースに対して一つの思い出があるかもしれませんけど、私なんか古い人間ですから、あんまりサンタクロースに対して思い出がないんですよね。サンタクロースやクリスマスより、正月がくるのを待ってましたからね。でもこれは静かに読むとファンタスティックのあるいい絵本ですよ。だから心ある人はぜひこれを読んでください。本屋さんで並んでいるつまらない絵本よりはこの方がずっといいと思います。そんなに名訳というわけではありませんけどね。でもわかりやすいいい文章で書いていると思いますよ。


時間 講義:午後6時30分~8時00分(受付開始・午後6時)
会場 鈴木出版(株)3F会議室(JR山手線巣鴨駅下車・徒歩8分/または都営三田線千石駅下車・徒歩4分)
定員 40名(定員になり次第締め切らせていただきます)
内容
5月
講師
野村たかあき先生(絵本作家)
『版画と自作絵本を語る』
  版画の制作過程や自作絵本についてお話ししていただきます。
6月
講師
井上洋介先生(絵本作家)
『自作絵本を語る』
  普段のお仕事のご様子や自作絵本の制作過程など貴重なお話しをしていただきます。
7月
講師
講師 木坂 涼先生(詩人・翻訳家・絵本作家)
『子どもの本と詩を語る』
  絵本の翻訳や詩の楽しさについてお話ししていただきます。
9月
講師
岡田達信先生(絵本ソムリエ)
『大人のための絵本セラピー』
  「絵本はこころの処方箋」と題して、作り手とは違う視点で絵本の魅力をお話ししていただきます。
10月
講師
講師 ひろかわさえこ先生(絵本作家)
『自作絵本を語る』
  ご自身の絵本や画家のお仕事についてお話していただきます。
11月
講師
講師 西本鶏介先生(昭和女子大学名誉教授・児童文学者)
『子どもたちにもっと絵本を!』
  本講座のまとめとして、最近の絵本や童話について語っていただきます。
協賛 鈴木出版(株)/(株)金の星社
受講料 6,000円(第11期全6回分)
ただし、園としてお申し込みの場合は、賛助会員(年会費10,000円)になっていただくと、1園から2名様まで無料で受講できます(代理聴講も可)。
特典
A:会報「おはなし絵本の会」、月刊絵本『こどものくに』進呈。
上記2点は各回受講の際にお渡しします。
B:おはなし絵本の会主催の他の講座などの受講料割引。
申込方法 受講申込書にご記入のうえ、受講料を添えて鈴木出版担当者にお渡しください。
または、申込書を郵送かFAXにてお送りいただき、受付完了後、郵便振替(口座番号;00140-6-606202 口座名称;おはなし絵本の会)に受講料をご送金ください。
申込締切 定員になり次第締め切ります。
問い合わせ

おはなし絵本の会(鈴木出版内)
   〒113-0021 東京都文京区本駒込6-4-21
   TEL:03-3947-5161 FAX:03-3947-5144
  E-Mail:ehon-1@suzuki-syuppan.co.jp

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